ドラムセットの各打楽器の名称と役割 (初心者でも作曲のやり方が分かる音楽理論) その 28

ドラムセットの各打楽器の名称と役割     (テキストと画像での解説)

※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。

バンドなどで用いられる 「ドラム」(ドラムセット) のリズムパターン (ビートパターン) は、
「ハイハット」・「バスドラム」・「スネア」などの複数の打楽器を組み合わせて作ります。

ドラムの各打楽器ごとの役割を知っておくとビートを作りやすくなります。

ドラムセットで使う打楽器の名称
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上の画像は、基本的な「ドラムセット」で使われる各打楽器のセットとなっています。

ハイハット ( Hi-Hat ) の役割と使い方

それでは、まず、「ハイハット」について説明していきます。

「ハイハット」というのは、リズムを細かく刻む役割の打楽器です。

ハイハット(Hi-Hat)とは
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「ハイハット」は、
貝殻のように2枚のシンバルが重なっていて、

「ハイハット」の下にあるペダルの部分を踏むと、
2枚のシンバルが閉じた「クローズ・ハイハット」として
「チチチチチチチ」という音色になり、

「ハイハット」の下にあるペダルの部分を踏まず、
2枚のシンバルが開いた「オープン・ハイハット」では
「シャシャシャシャ」という音色になります。

また、「ハイハット」の下にあるペダルを軽く踏んで、
2枚のシンバルが少しだけ開いた状態にした「ハーフオープンハイハット」では、
「シュシュシュシュ」という音色になります。

「クローズハイハット」(チチチチチチ) は、
楽曲の静かな箇所や、
細かくリズムを刻む時などに使われて、

「オープンハイハット」(シャシャシャシャ) は、
楽曲の激しい箇所や、
少しゆったりしたリズムを刻む時などに使われます。

「ハーフオープンハイハット」(シュシュシュシュ) は、
楽曲の少し激しい箇所や、
細かくゆったりとリズムを刻む時などに使われます。

また、「クローズハイハット」と
「オープンハイハット」を組み合わせて、
リズムに抑揚感を付けたりもします。

「ハイハット」では、「クローズ」の「チチチチ」と、
「オープン」の「シャシャシャシャ」、
「ハーフオープン」の「シュシュシュシュ」の3種類の音色を使い分けたり、
組み合わせたりして、リズムの刻み方にバリエーションを出します。

ライドシンバル ( Ride Cymbal ) の役割と使い方

ライドシンバル(Ride Cymbal)とは
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「ハイハット」と同じく、
リズムを細かく刻む役割の打楽器に「ライドシンバル」があります。

「ライドシンバル」は、
「ボウ」という名称の
シンバルの平たい箇所を叩くと、鈴と鐘の間くらいの
「チーン」といった感じの音色になり、

シンバルの中心にある「カップ」という名称の
モッコリしている箇所を叩くと、鐘の音に近い
「カーン」という少し乾いた音色になります。

「ライドシンバル」では、「ボウ」の「チーン」と、
「カップ」の「カーン」の2種類の音色を使い分けたり、
組み合わせたりして、
リズムの刻み方にバリエーションを出します。

「ライドシンバル」は残響音が長いので、
少しゆったりした曲調になる箇所などで
ハイハットの代わりに使われる事が多いです。

また、単純に、「Aメロ」では「ハイハット」、
「Bメロ」では「ライドシンバル」というように、

楽曲のセクション(AメロやBメロ、サビなどの事)が変わる際に、曲調に変化を加える目的として、

細かくリズムを刻む役割の打楽器を「ハイハット」から「ライドシンバル」、
または、「ライドシンバル」から「ハイハット」に変えたりもします。

バスドラム ( BassDrum ) の役割と使い方

それでは次に、「バスドラム」について説明していきます。

バスドラム(BassDrum)とは
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「バスドラム」というのは、ビートのリズムの土台を作る役割の打楽器です。

※ 「バスドラム」は、「キック」とも呼ばれます。

「バスドラム」は、「ドン」・「ドフ」・「ドム」といった音色で、
基本的には、「ドラム」だけではなく、
様々な楽器における最低音の楽器になっています。

「バスドラム」が刻むリズムによって、
「ドラム」全体のリズムの速度感が定まってきます。

例えば、このように、「ハイハット」が細かくリズムを刻んでいたとしても、

「バスドラム」の方のゆったりしたリズムで速度を感じられたのではないかと思います。

逆に、「ハイハット」が
少し長めに間隔を空けて
リズムを刻んでいたとしても、

「バスドラム」の方の細かいリズムで速度を感じられたのではないかと思います。

このように、「バスドラム」が刻むリズムによって、
「ドラム」全体のリズムの速度感が定まってきます。

また、「バスドラム」の音が鳴る箇所は、
他の打楽器が鳴る箇所よりも強調されて聴こえます。

例えば、「バスドラム」が拍の表で鳴っていて、
「ハイハット」が拍の裏で鳴っている場合、

「バスドラム」の音によって「拍」の表が強調されるので、
拍の裏で鳴っている「ハイハット」のリズムをキープしやすくなります。

逆に、「ハイハット」が拍の表で鳴っていて、
「バスドラム」が拍の裏で鳴っている場合、
「拍」の裏が強調されるので、

拍の表の「ハイハット」のリズムをキープしづらく、
拍の表と裏が ごちゃごちゃになってしまいます。

※ 聴いて頂いた「バスドラム」と「ハイハット」のように、
「拍」の表と裏で2つの音が交互に鳴っている場合、
人の耳は、強調されていると感じる音の方を「拍の表」として認識する働きがあります。

「バスドラム」の音は、他の打楽器の音よりも音が強調されて感じるので、
「ハイハット」を拍の表で鳴らして、「バスドラム」を拍の裏で鳴らすと、
「バスドラム」が鳴っている拍の裏の方が強調されるので、
少しずつ「バスドラム」の音の方が拍の表のように感じるようになります。


このように、「バスドラム」の音は、
他の打楽器の音よりも強調されて聴こえます。

ですので、「バスドラム」は、
「拍子」やドラムパターンの区切りを認識させるために、
小節の頭 (小節の1拍目の表) で鳴らされる事が多いです。

「バスドラム」を小節の頭(小節の1拍目の表) で鳴らす事によって、小節の先頭が強調されて、

ドラムパターンの区切りや、
「拍子」が感じやすくなります。

※ もちろん、「バスドラム」は小節の頭だけで鳴らす訳ではなく、

「8ビート」や「16ビート」といった\ドラムパターンの基本形では、「3拍目」などに「バスドラム」を鳴らしますし、

「8ビート」や「16ビート」などで、2小節の長さのリズムパターンにする際などには、

1小節目の4拍目裏で「バスドラム」を鳴らし、
2小節目の先頭の「バスドラム」を省いたりします。

また、「表打ち」(または、頭打ち) と呼ばれるビートでは、

小節の頭に「バスドラム」を鳴らさないパターンもあります。

スネア ( Snare ) の役割と使い方

それでは次に、「スネア」について説明していきます。

スネア(Snare)とは
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「スネア」というのは、
リズムやビートにアクセントを付ける役割の打楽器です。

「スネア」は、「タン」・「パン」といった音色になっていて、
スネアの音が鳴る箇所にアクセントが付きます。

「8ビート」や「16ビート」の基本形では、
「バスドラム」を小節の頭 (小節の1拍目) と小節の「3拍目」で鳴らして、

「スネア」を小節の「2拍目」と
小節の「4拍目」で鳴らします。

「8ビート」や「16ビート」の中に、
「スネア」を細かく入れる事で、軽快なリズムを作ったり、
疾走感のあるリズムを作ったする事が出来ます。

また、「スネア」は、ドラムのフィルインで中心的な打楽器として使われます。

「フィルイン」(Fill in = ”埋める”の意味)というのは、
ドラムの演奏技法の1つで、

楽曲のセクション (イントロやAメロなどの事) を展開する際に、

セクションの終わりで1~2小節くらいの長さで
ドラムが「ドタタタタタッタタドドドドン」といった
バカスカ叩く感じの演奏の事です。

ドラムの「フィルイン」のパターンを作る際は、
「16分音符」 と 「16分休符」 で、
叩く箇所と叩かない箇所を考えて作ると良いと思います。

例えば、こんな感じです。

後は、このリズムを、「スネア」で鳴らす箇所と、
この後 説明する「タムタム」や「フロアタム」で鳴らす箇所に分ければ、
ドラムの「フィルイン」が出来上がります。

タムタム ( Tom-tom ) の役割と使い方

それでは次に、「タムタム」について説明していきます。

タムタム(Tom-Tom)とは
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「タムタム」というのは、
ドラムの中で、
バスドラムとスネアの間の高さの打楽器音として
ドラムの音をメロディーのように繋ぐ役割の打楽器です。

「タムタム」には種類があって、
高い音を出す方を「ハイタム」、もしくは「1タム」、

低い音を出す方を「ロータム」、もしくは「2タム」、
と言います。

ドラムセットによってはミドルタムが入る
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※ また、ドラムセットによっては、
「タムタム」が2つではなく、
1つだけだったり、
3つ以上あったりする事もあります。

「タムタム」が3つの場合、
「ハイタム」・「ミドルタム」・「ロータム」というように、音の高さが細かくなります。

「タムタム」は、「ポン」・「ボン」といった音色になっていて、
「フィルイン」において、
「スネア」から徐々に音が下がっていくようにする時などに使われます。

「フィルイン」で「スネア」から「タムタム」に移動していく事によって、
徐々に音が下がっていき、
勢いが衰えていくような感じになります。

また、「フィルイン」で「スネア」から いったん「タムタム」に移動して、その後、再び「スネア」に戻ってくると、

”勢いが衰えたかに思えたが、
再び、蘇り、さらに勢いを増して突き進み始める”、
といった感じになります。

また、「タムタム」は、
「スネア」を細かく鳴らす「8ビート」の中で、

細かく鳴らす箇所の「スネア」の代わりとして用いられたりもします。

細かく鳴らす箇所の「スネア」の代わりに「タムタム」を用いると、少し民族的なビートになります。

フロアタム ( FloorTom ) の役割と使い方

それでは次に、「フロアタム」について説明していきます。

フロアタム(FloorTom)
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「フロアタム」というのは、ドラムの中で、
バスドラムとタムタムの間の高さの打楽器音として
ドラムの音をメロディーのように繋ぐ役割の打楽器です。

「フロアタム」は、「ボム」・「ボン」といった音色になっています。

「フロアタム」は、
「フィルイン」において、
「スネア」から「タムタム」へ徐々に音が下がり、
最終的に、「フロアタム」へ到達させて、
フィルインの勢いを緩める時などに使われます。

また、「タムタム」の時と同じように、
「フィルイン」で「スネア」から「タムタム」、
「フロアタム」まで移動した後、再び「スネア」に戻ってくると、

”勢いが完全に衰えたかに思えたが、再び、蘇り、さらに勢いを増して突き進み始める”、
といった感じになります。

また、「フロアタム」は、「8ビート」などで、
「ハイハット」の代わりに細かくリズムを刻む役割の代わりとして用いられる事もあり、
「ハイハット」の代わりに「フロアタム」で細かくリズムを刻むと、
大地を感じさせる民族的なビートになります。

さらに、ビートの中で「スネア」を細かく鳴らすと、より民族感が増して、

細かく鳴らす箇所の「スネア」の代わりとして「タムタム」を用いると、さらに民族的になり、

ビートの中の「スネア」を全て「タムタム」にすると、
かなり民族的なビートになります。

クラッシュシンバル ( CrushCymbal ) の役割と使い方

それでは最後に、「クラッシュシンバル」について説明していきます。

クラッシュシンバル(CrushCymbal)とは
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「クラッシュシンバル」というのは、ビートの区切りや、
楽曲が展開した際などにアクセントを付けたり、
雰囲気をリセットしたりする役割の打楽器です。

「クラッシュシンバル」は、
「シャーン」・「ジャーン」といった音色になっています。

クラッシュシンバル(CrushCymbal)とは
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基本的には、「クラッシュシンバル」は2種類ですが、
ドラムセットによっては、
様々な種類の「クラッシュシンバル」を取り付けて、

「クラッシュシンバル」によるアクセントの付け具合や、
雰囲気のリセットの仕方を細かく調整したりします。

チャイナシンバル(ChinaCymbal)の役割と使い方

チャイナシンバル(ChinaCymbal)とは
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※ また、このドラムセットの中にある右下のシンバルは
「チャイナシンバル」( China Cymbal )と言います。

※ 「チャイナシンバル」は、
「バシャーン」といった
残響音が短めの乾いた音色になっていて、
インパクトを出したい箇所などで用いられます。

「クラッシュシンバル」系は、音色的に少しウルサいので、
あんまり多用すると他の楽器が聴き取りづらく、
楽曲全体が騒々しい印象になってしまいます。

ですので、「クラッシュシンバル」は、
楽曲が単調になってしまっている時のビートの区切りや、
(4小節 か 8小節 間隔くらいで鳴らす)

フィルインの途中や、
セクションが変わった1拍目など、ここぞという箇所で使われます。

ドラムセットには、この他にも様々な打楽器を用いたりしますが、
基本的には、ここまで解説した打楽器が使われます。

ドラムセットで使う打楽器の名称
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