【MMDの使い方】物理ボタン / 物理焼き込み (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
ボーン操作パネルの「物理」ボタンでは、
「物理演算」の対象となる「髪の毛」や「スカート」などの各ボーンに対して、
個別に「物理演算」を「ON/OFF」に切り替える事が出来ます。
※ フレーム操作パネルの「0フレーム」目にある各ボーンの初期状態のキーにおいて、
キーの形状が「×」マークになっているボーンは、
「物理演算」の対象となるボーンです。
「0フレーム」目の初期状態のキーで、
キーの形状が「◇」マークになっているボーン (腕や足など) には、
「物理演算」処理を適用する事は出来ません。
「物理」ボタンをクリックすると、
点灯と消灯を切り替える事が出来て、
「物理」ボタンを点灯させた状態で「物理演算」の対象となる「髪の毛」や「スカート」などのボーンを選択してキー登録すると、
「×」マークのキーが登録されます。
「×」マークのキーを登録すると、
そのフレーム位置から そのボーンの「物理演算」が「ON」になります。
※ 「物理演算」を「ON」にした
フレーム位置から、
そのボーンはモデルに表示されなくなり、
調節が行えなくなります。
「物理」ボタンを消灯させた状態で「髪の毛」や「スカート」などのボーンを選択してキー登録すると、
「◇」マークのキーが登録されます。
「◇」マークのキーを登録すると、
そのフレーム位置から そのボーンの「物理演算」が「OFF」になります。
※ 「物理演算」を「OFF」にしたフレーム位置から、
そのボーンがモデルに表示されて、
調節が行えるようになります。
※ 1つのボーンだけ「物理演算」を「OFF」にした場合、
「物理演算」処理を「OFF」にした効果が感じられませんが、
スカートのボーンを まとめて「OFF」にした場合などには、
「◇」マークのキーが登録されたフレーム位置から、
スカートが固定された状態になるのが確認できます。
このように、ボーン操作パネルの「物理」ボタンでは、
「髪の毛」や「スカート」といった「物理演算」の対象となる各ボーンに対して、
個別に「物理演算」を「ON/OFF」に切り替える事が出来ます。
物理演算のモード と 物理ボタンでのON/OFF
ただ、「物理」ボタンで「物理演算」の ON/OFF を個別に切り替える事が出来るのは、
「物理演算」の処理モードが「オン/オフモード」と「トレースモード」の時だけです。
「常に演算」を選択した場合、「物理」ボタンによる物理演算のON/OFFが出来ない
「物理演算」の処理モードを「常に演算」にした場合、
「物理演算」の対象ボーンに「◇」マーク(OFF)のキーを登録しても、
常に「物理演算」が施されるので、
「物理演算」はOFFにならず、
モデルにボーンは表示されますが、
そのボーンを調節する事は出来ません。
「演算しない」を選択した場合、「物理」ボタンによる
「物理演算」の処理モードを「演算しない」にした場合、
「物理演算」の対象ボーンに「×」マーク(ON)のキーを登録したとしても、
「物理演算」はONにならず、
そのボーンに「物理演算」が適用されません。
「トレースモード」を選択した場合、「物理」ボタンによる
「物理演算」の処理モードを「トレースモード」にした場合には、
「オン/オフモード」の時と同じく、
「×」マークと「◇」マークのキーによる「物理演算」の「ON/OFF」の切り替えが行えます。
また、「トレースモード」の場合には、
「◇」マークのキーの前後に「×」マークのキーがある時は、
「◇」マークのキーより前のフレーム範囲でも、
ボーンの調節を行うことが出来ます。
※ 「オン/オフモード」の場合には、
「◇」マークのキーより前のフレーム範囲では、
ボーンを調節する事は出来ません。
物理ボタンの具体的な使い方 (物理焼き込み)
「物理」ボタンによる「物理演算」の ON/OFF を切り替える機能は、
モデルの足や体が「髪の毛」や「スカート」などを貫通してしまう場合などに、
貫通しないようにするためにボーンを手作業で調節する時などに利用します。
※ 「物理演算」処理された洋服や髪の毛が肉体部分と接触したかどうかの判定は万能ではなく、
モデルの動きが激しかったり、
動きが複雑だったりする場合には、
足がスカートを貫通したり、
髪の毛が体を貫通したりする映像になってしまう事があります。
そうした映像になってしまった場合に、
貫通しているスカートや髪の毛のボーンの「物理演算」処理を個別に「OFF」にして、
貫通しない映像になるように手作業でボーンを調節します。
また、特定のフレーム範囲におけるボーンの「物理演算」処理を「OFF」にして、
手作業でボーンを調節する事を「物理焼き込み」と言います。
それでは、このように、足の付け根がスカートを貫通する状態から、
「物理焼き込み」を行って、
足が貫通しない映像にしてみます。
※ ちなみに、「物理演算」の処理による映像は毎回 同じではなく、
再生するたびに変化します。
動画ファイルへ出力した映像においても「物理演算」処理されている映像の箇所は、
出力するごとに違っていたりします。
ですので、このように足がスカートを貫通している箇所が少しだけだった場合には、
何度か動画ファイルへ出力すると、貫通していない映像として出力される事もあります。
ただ、足が貫通していない映像になるまで何度も動画ファイルへと出力するのは、
作業的にも時間的にも面倒ですので、
「物理焼き込み」を行って、
絶対に足がスカートを貫通しない映像にした上で、
動画ファイルへと出力する方が作業的に楽になります。
物理焼き込みの実践
それでは、「物理焼き込み」を行っていきます。
※ 今回は、「物理演算」の処理モードを「オン/オフモード」にして、
「物理焼き込み」を行っていきます。
まず、「物理焼き込み」を行う際には、
再生したり、タイムラインのシークバーを移動したりして、
貫通している映像のフレーム範囲を確認します。
この映像では、「右足IK」が上に移動している「15~17フレーム」にかけて足がスカートを貫通していたので、
「15フレーム」目にシークバーを移動させ、
「服」のボーンをすべて選択した後、
「物理」ボタンを消灯状態にして「◇」マークのキーを登録します。
「15フレーム」目に「◇」マークのキーを登録したので、
「15フレーム」目以降のフレームでは「物理演算」処理が「OFF」になり、
このように、「15フレーム」目でスカートが固まっている状態になります。
次に、シークバーを「18フレーム」目に移動させて、
「物理」ボタンを点灯状態にした後、
「服」の「ボーン」全部に「×」マークのキーを登録します。
そうすると、「18フレーム」目以降のフレームでは、
「物理演算」処理が「ON」に戻ります。
それでは、何度か再生して
映像を確認してみます。
さらに、角度を変えて再生してみて、
映像を確認します。
どうやら、「15フレーム」目に「◇」マークのキーを登録した際に、
たまたま、足がスカートを貫通していない時のボーンの状態でキー登録されたようで、
スカートの特定のボーンを調節する必要がなくなってしまいました (^ ^;)
※ このように、「物理演算」をOFFにする「◇」マークのキー登録した際に、
たまたま貫通していない状態でキー登録される場合もたまにあります。
もし、貫通している状態でキー登録された場合には、
貫通している箇所のボーンを調節して、
貫通していない状態に仕上げた後、
再度、キー登録するようにしましょう。
物理焼き込みの仕上げ
それでは仕上げに、「15~17フレーム」にかけて、
足が貫通していたスカートの箇所のボーンだけ「◇」マークのキーが登録されている状態にしていきます。
まず、ボーン操作パネルの「BOX選択」で、
貫通していた箇所のスカートのボーンを大まかに選択状態にします。
次に、選択状態にしたボーンの中で、
貫通していた箇所と関係ないボーンを視点を変えながら探して、
貫通していた箇所と関係ないボーンを「Shift」キーを押しながらクリックして解除していきます。
フレーム操作パネルの ” 選択状態にしているボーンの名称の段 ”
にある「◇」マークのキーだけ残るように、
「15フレーム」目の「服」関連のボーンに登録した他のボーンの「◇」マークのキーを削除していきます。
※ 作業効率を考えて、「15フレーム」目に登録したキーをフレーム操作パネルの下にある「縦選択」ボタンで全て選択して、
選択しているボーンのキーの
選択状態を解除していき、
選択中以外のボーンのキーを
削除しています。
これで、「15~17フレーム」にかけて、
足が貫通していたスカートの箇所のボーンだけ「◇」マークのキーが登録されている状態になり、
何度 再生しても貫通しない映像になりました。
※ 今回は、たまたま、「◇」マークのキーを「服」の全ボーンに登録した際に、
足が貫通していない時の状態でキーが登録されたので、
ボーンの調節も必要ありませんでしたが、
足が貫通した状態でキー登録された場合には、
さっきキーを残したボーンを調節して、
足が見えないスカートの状態にした後、
再度、「◇」マークのキーを登録すれば、
足が貫通しない映像になります。
このように、「物理焼き込み」を行うことで、
貫通していない映像を作る事が出来ます。
物理焼き込みが行えないケース
ただ、注意して頂きたいのは、
”「物理焼き込み」による処置も万能ではない”という点についてです。
例えば、このように極端に貫通している場合には、
貫通している箇所のボーンの「物理演算」を「OFF」にして「物理焼き込み」を行うにしても、
そもそも、”貫通していない状態にボーンを調節する事が出来ない”、
という場合があります。
ですので、このような場合には、
モデルのモーション自体を変えるか、
MMDで出力した動画ファイルをAviUtlなどの動画編集ソフトを使って映像編集する際に、
”スカートの色と同じ色の図形オブジェクトで覆い隠す”、
といった方法で どうにか誤魔化すようにしましょう。
物理焼き込みの具体例 (スカートがプルプル震えるのを無くす)
最後に、もう1つ、「物理焼き込み」を行う事例を紹介したいと思います。
このように、足とスカートが
ぶつかっている状態が続くと、
「物理演算」による
” 接触している判定 (当たり判定) ”
が継続して、
スカートがプルプルと震える状態が継続してしまいます。
このような状態を解消する場合にも、
スカートが接触している判定が行われないようにするために、
「物理演算」を「OFF」にする「◇」マークのキーをスカートのボーンに登録します。
今回の場合には、接触している判定をOFFにしたい「15フレーム」目で「◇」マークのキーを登録して、
「18フレーム」目に登録してある「×」マークのキーを全て削除します。
そうすると、このように、「15フレーム」目からスカートの状態が維持されるので、
プルプル震える状態が解消されます。
もし、ポーズを維持するような映像を作る際に、
スカートや髪の毛 が 足や体に当たってプルプル震える場合には、
今 行ったように、
ポーズを維持するフレーム範囲におけるスカートのボーンに「◇」マークのキーを登録して、
「物理演算」を「OFF」にしましょう。
それでは以上で、 ” 物理ボタン / 物理焼き込み” の解説は終了となります。
お疲れ様でした!! m(^ ^)m
※ 映像を作成する際に使用しているMMDのモデルデータは、マウスコンピューターさんのゲーミングPCブランド「G-Tune」のキャラクターである「Tuneちゃん」や「Tuneちゃんの家」、「G-Tune製品などのMMDモデルデータを使用しています。