転回形 と 分数コード(オンコード) について (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
「転回形」(てんかいけい) というのは、
”「メジャーコード」、または、「マイナーコード」の構成音の順番を入れ替えた形”
の事です。
※ 「構成音」(こうせいおん) というのは、
”そのコードを作るために組み合わされている音”
の事です。
例えば、「Cコード」という「メジャーコード」であれば、
基本的な形は、コードの「根音」の音(音名)である「ド」(C)が最も低い音として配置されて、
2音上の「ミ」、3音半上の「ソ」、というように「ド・ミ・ソ」の音(音名)が配置されますが、
「ド」の音を1オクターブ上に移動させて、
「ミ・ソ・ド」という配置になるように順番を入れ替えます。
このように、「メジャーコード」、または「マイナーコード」の構成音の順番を入れ替えた形を
「転回形」(てんかいけい) といいます。
第1転回形 と 第2転回形
このように、
本来、「Cコード」の 最低音(最も低い音) に位置する「ド」を移動させて、
「Cコード」の2番目の位置にあった「ミ」を最低音にした「転回形」を
「第1転回形」(だいいちてんかいけい) と言います。
そして、さらに、「ミ」の音を1オクターブ上に移動させて、
「ソ」の音を最低音にした「転回形」を
「第2転回形」(だいにてんかいけい) と言います。
転回形を使う時の構成音について
多くの場合、「メジャーコード」と「マイナーコード」を使用する際には、
構成音の音(音名)を1オクターブ上に付け足して使用するので、
最低音の音(音名)を移動させるというより、
”最低音の音(音名)を抜いて、別の構成音が最低音になるようにする”、
というようにして転回形の状態にします。
例えば、「Cコード」であれば、
「ド・ミ・ソ」ではなく、「ド・ミ・ソ・ド」や、
「ド・ミ・ソ・ド・ミ」といった構成で使用するので、
” 最低音の「ド」を抜いて、
「ミ」の音が最低音になるようにする ”、
というようにして「転回形」を作ります。
※ ただ、「第2転回形」の状態にするために、
最低音の「ミ」を抜くと、
コードの音が3音だけになり、
和音の厚みが無くなるので、
オクターブ上の「ソ」など、
コードの構成音の音(音名)を付け足して、
厚みが維持されるようにしたりします。
「マイナーコード」の場合も同じで、
「Cマイナー」コードであれば、
最低音の「ド」を抜いて、「ミ♭」が最低音になるようにして「第1転回形」を作り、
「第2転回形」の状態にするために、
最低音の「ミ♭」を抜く場合には、
オクターブ上の「ソ」など、
コードの構成音の音(音名)を付け足して、
厚みが維持されるようにしたりします。
転回形のコードネームでの表し方と呼び方
「転回形」の状態にしたコードをコードネームで表す際には、
「 〇(元のコード) on 〇(最低音にした構成音) 」、
または、
「 〇(元のコード) / 〇(最低音にした構成音) 」、
というように表します。
「ソ」(G) を最低音にした「Cm」(Cマイナー)コードの場合、
「Cm on G」、または、「Cm / G」、というように表します。
呼び方としては、
「シーマイナー オン ジー」(Cm on G)
というように呼びます。
転回形を使うメリット
「転回形」を利用するメリットは、
”コードの響きを維持したまま、そのコードの音の高さの微調整が出来る”、
という事が挙げられます。
例えば、「Key : Cメジャー」で、
「C・F・G・C」というコード進行パターンを伴奏として、
このようなメロディーを付けた場合に、
伴奏の音が低すぎて、
少しゴワゴワした感じがしているので、
「C・F・G・C」の各コードの音の高さを
1オクターブ上へ高くしたとします。
そうすると、今度は、コードの音が高くなり過ぎて、
伴奏の雰囲気が少しサッパリしてしまいますし、
各コードの音と、メロディーの音がぶつかり合ってしまう箇所が出てきてしまいます。
こうした場合に、各コードの音で、
低すぎると感じる音だけを1オクターブ上に移動させて「転回形」にします。
このように、「転回形」を使う事で、
コードの響きを保ちつつ、
コードの高さを調節する事が出来ます。
ただ、そのコードの構成音であっても、最低音が変わると、
そのコードの響きが 若干、変化してしまうので、
その点も考慮して「転回形」を使うようにしましょう。
※ また、「転回形」を使う際の1つの例として
このような伴奏とメロディーでの使用方法を紹介させて頂きましたが、
実際には、先ほどのような、メロディーと伴奏の音のぶつかり合いくらいであれば、
そこまで気にする必要は無いと思います。( > < )
四和音(しわおん) での転回形
また、ここまで、「ド・ミ・ソ」といった「三和音」での構成音を使った「転回形」を紹介してきましたが、
「転回形」には、「ド・ミ・ソ・シ」のように「四和音」での転回形もあります。
「四和音」での「転回形」も、
「三和音」の時と同じで、
「Cメジャーセブンス」コードの場合、
「根音」の音(音名)である「ド」を1オクターブ上へ移動して、
「ミ」が最低音になった状態が「第1転回形」、
「第1転回形」の最低音である「ミ」を1オクターブ上へ移動して、
「ソ」が最低音になった状態が「第2転回形」となります。
そして、「四和音」の場合には、さらに、もう一段階あって、
「第2転回形」の最低音である「ソ」を1オクターブ上へ
移動して、
「シ」が最低音になった状態が「第3転回形」となります。
※ ただ、「四和音」での転回形は、
「ド」と「シ」の音が ぶつかり合って不安定な不協和音の響きに鳴り過ぎるので、
楽曲の伴奏の中で「四和音」のコードを転回形にして使用する事はあまり無いと思います。
分数コード(オンコード) について
「分数コード」(オンコード)というのは、
”「メジャーコード」(または「マイナーコード」) の構成音の順番を入れ替えて最低音を変更したコード”
でもあり、
”「メジャーコード」(または「マイナーコード」) に、構成音以外の音(音名)を最低音として付け足したコード”、
の事でもあります。
つまり、ここまで解説した「転回形」のコードは、「分数コード」 (オンコード) に含まれます。
※ また、「分数コード」は、「オンコード」とも呼ばれます。
ただ、「分数コード」(オンコード)は、
「そのコードの構成音以外の音(音名)を最低音として付け足したコード」の事も指すので、
多くの場合、「コードの構成音の順番を入れ替えて最低音を変更したコード」は「転回形」のコードとして考えて、
「コードの構成音以外の音(音名)を最低音として付け足したコード」の場合には「分数コード」として考えられます。
例えば、「Cコード」であれば、
構成音は「ド」と「ミ」と「ソ」の3つの音(音名)で、
通常、最低音は「ド」(C)ですが、
構成音ではない 「レ」(D) という音(音名)を「ド」の下に付け足して最低音を 「レ」(D) にします。
このように、コードの最低音に、構成音以外の音(音名)を最低音として付け足したコードの場合は、「分数コード」 (オンコード) と呼ばれます。
「分数コード」 (オンコード) を表す際にも、
転回形の時と同じように、
「〇(コード) on 〇(付け足した最低音)」、
または、「〇(コード) / 〇(付け足した最低音)」、
というように表します。
最低音に「レ」(D)ではなく、
「ファ」(F)を付け足した場合には、
「C on F」という表記になります。
分数コードの使い方
「分数コード」は、コードのベースライン(最低音の動き)を滑らかにするためなどに用いられます。
例えば、「Key : Cメジャー」の時の代表的なコード進行パターンである「C・F・G・C」の、
「Fコード」の最低音に「レ」(D)を付けたして、「Gコード」の最低音に「ミ」(E)を付け足します。
そうすると、始めの「Cコード」の最低音である「ド」、
2番目の「F on D コード」の最低音である「レ」、
3番目の「G on E コード」の最低音である「ミ」、
というように、最低音が「ド」⇒「レ」⇒「ミ」と並んで、
ベースライン(最低音の動き)が、徐々に上がっていくような滑らかな動きになります。
ただ、バンドなどでは、基本的に、最低音はベースのパートが担当するので、
コード(和音)を鳴らすパートであるギターやピアノといった楽器では、
コードの基本形、またはセブンスなどのコードを鳴らして、
ベースのパートが、コードの構成音以外の音を最低音として鳴らして分数コードにする場合が多いと思います。
また、「分数コード」と思って使っていたけど、
”良く見たら普通のコードだった”、
という事があります。
例えば、「ド・ミ・ソ」という「Cコード」に、
「ラ」の音を最低音として付け足した場合、
「C on A」(C / A)という分数コードになりますが、
よく見てみると、
「ラ・ド・ミ」という「Amコード」に、
「Amコード」で考えた時の7番目の音(音名)である「ソ」が付け足されていると考えられるので、
「Am7コード」という事になります。
「C on A」(C / A) というコードでも間違いという訳ではありませんが、
「Am7コード」として考えた方が分かりやすいので、
バンドなどで、楽曲のコードをメンバーに伝える際などには、
「C on A」の分数コードより、
「Am7」コードの方で伝えた方が分かりやすいと思います。