Audacity (オーダシティ) の 使い方 – ノーマライズ (音量の正規化)

Audacity (オーダシティ) の 使い方 – ノーマライズ (音量の正規化)     (テキストと画像での解説)

※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。

「Audacity」(オーダシティ) には、
オーディオデータの ノーマライズ (音量の正規化) を行う機能があります。

※ 「正規化」とは、
”一定のルールに基づいてデータなどを調整する”、
という意味です。

ノーマライズ (音量の正規化) とは?

「ノーマライズ」(音量の正規化) とは、
選択範囲のオーディオデータの音量を読み取って分析を行い、
その中の最大音量を基準として、
選択範囲にあるオーディオデータ全体の音量を増減させて調整する処理の事です。

また、「ノーマライズ」の機能では、
最大音量の音が「音割れ」しないギリギリの音量まで大きくなるように設定する事が出来ます。

※ 「音割れ」というのは、音量の上げ過ぎで音が歪んだり、音がバリバリと割れてしまう現象の事です。

オーディオデータの最大音量の音

このオーディオデータで言うと、
この箇所が最大音量となっていて、

音割れとは?

この箇所のオーディオデータが、
上のラインを超えるようになると「音割れ」が発生してしまいます。

ノーマライズとは?
ノーマライズ機能で出来る事

「ノーマライズ」(音量の正規化)という機能では、

選択範囲のオーディオデータの最大音量の音を、
音割れするラインを超えないギリギリの音量まで増幅しつつ、

選択範囲にあるオーディオデータ全体の音が、
同じくらいの音量感で増幅する様に、
自動調整によって増幅させる事が出来ます。

Audacity で ノーマライズ を行ってみよう!!

ノーマライズする音声データを範囲選択

ノーマライズを行うには、
まず、
ノーマライズを行いたい箇所を範囲選択します。

「エフェクト」項目の「ノーマライズ」をクリック

ノーマライズを行いたい箇所を範囲選択したら、
画面上部の「エフェクト」をクリックして、
その中の「ノーマライズ」をクリックします。

ノーマライズ処理の設定画面

「ノーマライズ」をクリックすると、
「ノーマライズ」画面が表示されます。

「DCオフセットを削除 (センターを 0.0 にします)」という設定項目の説明

「DCオフセットの削除」という設定項目の説明

「ノーマライズ」画面の
「 DCオフセットの削除 (センターを 0.0 にします) 」
という項目にチェックを入れると、

「DCオフセット」を削除して、
波形の位置をセンターに合わせ直すようになります。

DCオフセットとは?

「DCオフセット」とは、
意図しない 直流電流 (Direct Current) の信号入力によって生じてしまう 「波形の基準位置からのズレ」 の事です。

※ 「DCオフセット」の 「DC」は「Direct Current」(直流電流)、
「オフセット」は 「基準となる位置からのズレ」、
という意味です。

DCオフセットとは?

例えば、このような波形があったとして、
本来、波形の真ん中は、
センターの位置にあるはずですが、

波形の真ん中の位置がズレた

マイクなどでパソコン内に音を録音する際に、
パソコン周辺の電子機器や電流の影響などで、
意図しない直流電流が入力されてしまい、
波形の真ん中の位置がズレてしまう、
といった事が生じます。

波形の位置がセンターにある時の最大音量の位置
波形の中心がセンターにある時の増幅量

波形の真ん中の位置がセンターにある時には、
最大音量の箇所から音割れのラインまでは、
これだけの差があり、

最大音量以外の波形の増幅量

最大音量の箇所を、
音割れギリギリのラインまで大きくした場合、

最大音量の増幅分に合わせて、
全ての波形で同じくらいの音量感になるように、
これぐらいの音量が増幅されますが、

波形の中心がセンターからズレた
波形の中心がセンターからズレた時の増幅量

波形の真ん中の位置がズレてしまうと、
最大音量の位置がズレるので、

最大音量の波形と、
音割れのラインまでの差が小さくなり、

波形がズレると増幅量が小さくなる

増幅量が小さくなるので、
波形の他の箇所における増幅量も小さくなります。

※ つまり、波形の真ん中がセンターにあれば増幅できた音量分が、
増幅出来なくなってしまう、
という事です。

「DCオフセットを削除 (センターを 0.0 にします)」 にはチェックを入れておく

DCオフセット (波形の中心とセンターのズレ) は、
ノーマライズによる音量の増幅量が小さくなってしまうだけでなく、
音声の再生時に「プツッ」というクリップノイズが発生してしまう原因にもなります。

「DCオフセットの削除」という設定項目の説明

ですので、「DCオフセットの削除」にはチェックを入れて、

波形の真ん中とセンターとのズレを無くすようにしましょう。

「最大振幅をノーマライズ」という設定項目の説明

「最大振幅をノーマライズ」という設定項目の説明

「ノーマライズ」画面の
「最大振幅をノーマライズ」という箇所では、

選択範囲のオーディオデータにおける 最大音量 (最大振幅) の音を、

音割れする音量から、
何デシベル(dB)下の音量にするかを、
右側の入力欄で設定する事が出来ます。

※ 「dB」(デシベル) というのは、
” 特定の基準値と比較した時の大きさを表す単位 ” 、の事です。

今回の場合、「dB」(デシベル) は、
音割れするラインの音量と比較した時の 音量の大きさを表す単位になります。

「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」(dB) に設定した場合

「最大振幅をノーマライズ」の値が「0」

オーディオデータの最大音量の音が、
音割れする音量から「-3dB」の音量で、

「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」(dB) にした場合、

最大音量が3dBぶん大きくなる

最大音量のオーディオデータの音を、
音割れするラインまでの「3dB」ぶん大きくする事になります。

波形の他の箇所も増幅された

※ 最大音量の増幅分に合わせて、
選択範囲におけるオーディオデータ全体の音量も、
自動調節によって増幅されます。

「最大振幅をノーマライズ」の値を「-1」(dB) に設定した場合

「最大振幅をノーマライズ」の値を「-1」(dB)に設定

「最大振幅をノーマライズ」の値を「-1」(dB) にした場合、

最大音量が「2dB」ぶん増幅された
波形の他の箇所も最大音量に合わせて増幅

最大音量のオーディオデータの音を、
音割れするラインから「-1dB」の音量までの「2dB」ぶんを大きくする事になり、

最大音量の増幅分に合わせて、
選択範囲におけるオーディオデータ全体の音量も、
自動調節によって増幅されます。

「最大振幅をノーマライズ」の値を「-4」(dB) に設定した場合

「最大振幅をノーマライズ」の値を 「-4」(dB) にした場合

「最大振幅をノーマライズ」の値を「-4」(dB) にした場合、

最大音量の音が「-1dB」ぶん小さくなった
波形の他の箇所も音量が減少される

最大音量のオーディオデータの音を、
音割れするラインから「-4dB」の音量までの「-1dB」ぶん小さくする事になり、

最大音量の減少分に合わせて、
選択範囲におけるオーディオデータ全体の音量も、
自動調節によって減少されます。

「最大振幅をノーマライズ」の値は「0」より大きくは設定できない

「最大振幅のノーマライズ」の値が「0」より大きいという事は、
音量を、” 音割れするラインより大きくする ” という事になるので、

「最大振幅をノーマライズ」の値は「0」以下でのみ設定可能

「最大振幅をノーマライズ」の値は、
「0」より大きい値には設定出来ない様になっています。

「最大振幅をノーマライズ」のチェックを外した場合

「最大振幅をノーマライズ」のチェックを外す

また、「最大振幅をノーマライズ」のチェックを外すと、

「DCオフセットの削除」の処理だけ実行するようになります。

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」という設定項目の説明

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」という設定項目の説明

「ノーマライズ」画面の
「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」
という項目にチェックを入れると、

ステレオチャンネルの音源の場合、
左右のオーディオデータを、
別々にノーマライズするようになります。

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックを外した場合

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックを外した場合、
左右の波形の中で最大音量となっている箇所を基準として、
左右の波形がノーマライズされます。

ステレオ音源の左の波形と右の波形

例えば、
左の波形の最大音量が、
音割れするラインから「-2dB」で、

右の波形の最大音量が、
音割れするラインから「-3dB」だった場合、

左の波形の最大音量を基準に右の波形もノーマライズ

左の波形の最大音量の方が、
右の波形の最大音量より大きいので、

左の波形の最大音量を基準として、
右の波形もノーマライズされます。

つまり、「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックを外して、
「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」に設定して、
ノーマライズ処理を実行すると、

左の波形は音割れギリギリまで増幅される

左の波形の最大音量は、
音割れギリギリのラインまで増幅されますが、

右の波形は音割れギリギリまで増幅されない

右の波形の最大音量の音は、
左の波形の増幅分に合わせて、
自動調節による増幅分しか大きくならず、

右の波形の最大音量の音は、
音割れギリギリのラインまでは増幅されません。

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックを入れた場合

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックを入れると、
左右のチャンネルごとに最大音量の箇所を読み取り、
ノーマライズを実行するので、

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」にチェックを入れ、
「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」に設定して、
ノーマライズを実行すれば、

左右の波形の最大音量が音割れギリギリまで増幅される

左右それぞれの波形で、
最大音量の音が、
音割れギリギリまで増幅されます。

「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックは入れておく

※ ですので、基本的に、
「ステレオチャンネルごとにノーマライズ」のチェックは入れておきましょう。

「プラビュー」ボタンの説明 (「ノーマライズ」画面)

また、「プレビュー」ボタンをクリックすると、
ノーマライズ処理後の状態を試聴する事が出来ます。

ノーマライズの実行・再生確認

「ノーマライズ」画面の「OK」ボタンをクリック
「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」で実行

ノーマライズの設定が完了したら、
「OK」ボタンをクリックします。

※ とりあえず、このページの解説では、
音割れしないギリギリの音量まで上がるように、
「最大振幅をノーマライズ」の値を「0」に設定して実行します。

ノーマライズの処理が始まります。

ノーマライズ処理後の音声データ

これで、元のオーディオデータの音量から、
ノーマライズした音量の状態になりました。

ノーマライズ処理後と処理前の音声データを比較

この2つのオーディオデータは、
元は同じオーディオファイルのデータで、

上のオーディオデータが、
ノーマライズで音量を最大化した状態です。

それでは、元のオーディオデータを聴いてみます。

それでは次に、ノーマライズで音量を最大化したオーディオデータを聴いてみます。

本当に若干ですが、聴き比べてみて頂けると、
ノーマライズ処理したオーディオデータの方が、
音量が大きくなっているのが分かると思います。

このように、Audacity (オーダシティ) では、
オーディオデータ の ノーマライズ (音量の正規化) を行う事が出来ます。

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