Audacity (オーダシティ) の 使い方 – 録音設定 (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
「Audacity」(オーダシティ) では、
パソコン内で再生されている音を録音したり、
パソコンと接続しているオーディオインターフェイスから入力される音を
録音したりすることが出来ます。
※ 「オーディオインターフェイス」とは、
ギターの演奏音 や マイクを通した人の声などを、
音声データに変換してパソコン内に取り込むための機材で、
主に DTM などで使われます。
「DTM」とは、「DeskTop Music」の略語で、
自宅でパソコンや機材を使って音楽を作る事を意味する用語です。
Audacity で録音を行うには、まず、録音設定を行います。
Audacity の録音設定は、デバイスツールバーで行います。
オーディオドライバーの設定
デバイスツールバーの左端のプルダウンでは、
使用するオーディオドライバーを選択することが出来ます。
オーディオドライバー(サウンドドライバー)とは?
「オーディオドライバー」(サウンドドライバー)とは、
パソコン内部に組み込まれている「音声の再生や録音を行う装置」である「オーディオデバイス」(サウンドデバイス) と 「パソコン内のソフト」の間で 音声データの橋渡しをしたり、
パソコンに接続しているオーディオインターフェイスなどの外部機器 と 「パソコン内のソフト」の間で 音声データの橋渡しをしたりするソフトの事です。
「オーディオデバイス」(サウンドデバイス) で再生されている音声データや、
パソコンに接続したオーディオインターフェイスなどの外部機器から入力された音声データは、
「オーディオドライバー」というソフトに渡される事によって、
Audacity のような「音声データを扱えるソフト」で受信できるようになります。
※ ちなみに、このように、機器とソフトの間や、
ソフトとソフトの間でデータの橋渡しをするソフトを、
総称して「ミドルウェア」(中間ソフト)と言って、
ミドルウェアは、
「ドライバソフト」・「デバイスドライバ」など、
色々な呼ばれ方をします。
Windows パソコン で選択可能な Audacity のオーディオドライバー
Windows パソコンであれば、
- MME (Multi Media Extension)
- Direct Sound
- WASAPI (Windows Audio Session API)
という 3種類の中から、
オーディオドライバーを選択することが出来ます。
※ とりあえず、オーディオドライバーに「WASAPI」を設定しておくと良いと思います。
もし、選択項目の中に「WASAPI」が表示されなかったり、
「WASAPI」を選択した状態だと録音が正常に行われなかったりする場合には、
オーディオドライバーを「MME」か「Direct Sound」の どちらかに設定してみてください。
オーディオデバイスの設定
デバイスツールバーの左から二番目のプルダウンでは、
録音を行う音声の入力元となる「オーディオデバイス」(音声を再生したり録音したりする機器)を選択することが出来ます。
※ パソコンにオーディオインターフェイスを接続している場合には、
このプルダウンに、パソコンと接続しているオーディオインターフェイスの名前が表示されます。
もし、このプルダウンに、パソコンと接続しているオーディオインターフェイスの名前が表示されない場合には、
Audacity が、接続しているオーディオインターフェイスを認識出来ていないので、
使用しているオーディオインターフェイス専用のドライバソフト (デバイスドライバ) をインストールして、
使用しているオーディオインターフェイスが認識されるようにしましょう。
使用しているオーディオインターフェイス専用のドライバソフト (デバイスドライバ) は、
そのオーディオインターフェイスのメーカーのサイトなどでダウンロードすることが出来ます。
パソコン内の音を録音する時のオーディオデバイス設定
録音を行うオーディオデバイスを、
「Realtek High Definition Audio」といった、
パソコン内部のオーディオデバイスや、
「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」などに設定した場合、
”パソコン内の各ソフトで鳴らされている音声データ” が、
全て録音されるようになります。
ですので、「Zoom」や「Skype」での会話など、
パソコン内の各ソフトの音を録音したい場合には、
「Realtek High Definition Audio」や、
「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」を選択して、
録音を行いましょう。
「Realtek High Definition Audio」 などで録音が出来ないパターン
オーディオインターフェイスをパソコンに接続すると、
パソコンの音声の出力デバイスとして、
接続したオーディオインターフェイスが自動的に設定されている事があって、
接続したオーディオインターフェイスが、パソコンの音声出力デバイスに設定されていると、
Audacity の入力元オーディオデバイスに「Realtek High Definition Audio」といった、
パソコン内部のオーディオデバイスを設定しても、
「無音で録音されてしまう」
「録音自体が出来ない」
といった状態になります。
ですので、オーディオインターフェイスがパソコンの音声出力デバイスに設定されている場合には、
Audacity の入力元オーディオデバイスを「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」に設定して、
”パソコン内の各ソフトで鳴らされている音声データ” を録音するか、
パソコンのコントロールパネルを開き、
「サウンド」の項目をクリックして、
表示された 「サウンド」の設定画面のオーディオインターフェイスの箇所を右クリックして、
表示されたダイアログ画面の「無効化」をクリックしましょう。
そうすると、Audacity の入力元オーディオデバイスに、
「Realtek High Definition Audio」といった、
パソコンのオーディオデバイスを設定して、
録音が行えるようになります。
※ 要するに、パソコンのサウンドデバイス設定で、
オーディオインターフェイスを無効化していると、
Audacity の 入力元オーディオデバイス や 再生デバイス として、
「Realtek High Definition Audio」を設定して、
録音出来るようになりますが、
ですので、オーディオインターフェイスを接続して、
Audacity を使用する場合には、
基本的に、パソコンの音声出力デバイスをオーディオインターフェイスに設定したままにして、
”パソコン内の各ソフトで鳴っている音声データ”
を録音する際には、
Audacity の 入力元オーディオデバイス に
「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」
を選択して録音を行うと良いと思います。
※ パソコンの音声出力デバイスをオーディオインターフェイスに設定しなおすには、
先ほどと同じように「サウンド」の設定画面のオーディオインターフェイスの箇所を右クリックして、
表示されたダイアログ画面の「有効」をクリックしましょう。
オーディオインターフェイスの音を録音する時のオーディオデバイス設定 (「歌ってみた」などの歌声録音)
録音を行うオーディオデバイスを、
パソコンと接続しているオーディオインターフェイスに設定した場合、
そのオーディオインターフェイスに接続しているマイクの音やギターの音だけが録音されます。
上の動画のように、オーディオデバイスの設定で、
オーディオインターフェイスを選択した場合、
Audacity に読み込んでいる他のオーディオデータの音を再生していても、
それらの音は録音されず、
オーディオインターフェイスからのボーカルの声やギターなどの楽器の演奏音だけが録音されるので、
伴奏やBGMなどの音をAudacityで流しながら、
歌を歌って録音したり、
ギターを演奏して録音したりできます (^ ^)/
ですので、「歌ってみた」などの動画用に歌声を録音するのであれば、
Audacity の オーディオデバイスの設定 で、
接続しているオーディオインターフェイスを選択しましょう。
多重録音設定
オーディオインターフェイスからの音を録音する際、
Audacity に読み込んでいる他のオーディオデータの音を再生しているのに、
そのオーディオデータの音が聴こえない場合には、
「オーバーダブ」(多重録音 / オーバーダビング) の設定が「OFF」になっている可能性があるので、
「オーバーダブ」にチェックを入れると、
録音中に他のトラックの音も聴きながら、
オーディオインターフェイスからの音だけを録音出来る「多重録音」の設定になります。
※ また、「オーバーダブ」にチェックを入れて多重録音の設定にした状態で、
入力元オーディオデバイスを「Realtek High Definition Audio」や、
「スピーカー(オーディオインターフェイス名)」に設定して、
”パソコン内の各ソフトで鳴らされている音声データ” を録音すると、
Audacity で再生されるオーディオデータの音も含めて録音されるようになります。
モノラル・ステレオ録音チャンネルの設定
デバイスツールバーの左から3番目のプルダウンでは、
モノラル録音にするかステレオ録音にするかの設定が出来ます。
「 1 (モノラル) 録音チャンネル 」に設定して録音
「 2 (ステレオ) 録音チャンネル 」に設定して録音
※ また、空のモノラルトラックとステレオトラックを作成して、
そのトラックに録音したい場合には、
Audacity画面の何もない箇所で右クリックして、
「モノラルトラックの追加」・「ステレオトラックの追加」をクリックして、
空のトラックを作成した後、
そのトラックを選択している状態で録音ボタンをクリックしましょう。
モノラルチャンネル録音 と ステレオチャンネル録音 の 使い分け
録音を行うオーディオデバイスを、
「Realtek High Definition Audio」などに設定して、
”パソコン内の各ソフトで鳴らされている音声データ” を録音する場合には、
「 2 (ステレオ) 録音チャンネル 」を選択して、
ステレオ録音にすると良いと思います。
録音を行うオーディオデバイスを、
パソコンに接続しているオーディオインターフェイスに設定して、
そのオーディオインターフェイスからの音声を録音する場合には、
「 1 (モノラル) 録音チャンネル 」に設定しましょう。
※ オーディオインターフェイスからの音声をステレオで録音したとしても、
オーディオインターフェイスの 左右のチャンネル (2つの端子入力箇所) にマイクやギターケーブルを接続していなければ、
結局、左右どちらかの音しか録音されず、
片方の音だけが録音された状態のステレオ音声になり、
録音された音声は、
音の位置が左右どちらかに振られている状態になってしまいます。
もし、オーディオインターフェイスの チャンネル2 からの音をモノラル音声で録音したい場合には、
いったん、 Audacity の録音設定で、
「 2 (ステレオ) 録音チャンネル 」に設定してステレオ音声で録音を行い、
録音されたステレオ音声のトラックをモノラルトラックに分割しましょう。
※ そうすると、録音された音声がモノラル音声の状態になり、
そのモノラル音声の 音の位置も、
自動的にセンターに調節されます。
「再生デバイス・スピーカー」の設定
デバイスツールバーの右端のプルダウンでは、
Audacity に録音した音をAudacity で再生する際の 「オーディオデバイス」(サウンドデバイス) を選択できます。
再生デバイスの設定の違い
「 スピーカー(Realtek High Definition Audio) 」といったパソコン内部のオーディオデバイス(サウンドデバイス) を選択した場合、
Audacity で再生した音を、
パソコン内部のオーディオデバイスで聴く設定になり、
パソコンのイヤフォンジャック(差し込み口) に接続しているイヤフォンなどから音を聴くことが出来ます。
「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」を選択した場合、
Audacity で再生した音を、
パソコンに接続しているオーディオインターフェイスで聴く設定になり、
オーディオインターフェイスの
ヘッドフォンジャックに接続しているヘッドフォンなどから音を聴けるようになります。
※ ただ、接続したオーディオインターフェイスをパソコンの音声出力デバイスに設定していて、
「再生デバイス・スピーカー」に「Realtek High Definition Audio」といったパソコンのオーディオデバイスを設定した場合、
再生ボタンを押しても音を聴くことが出来ません。
逆に、パソコンの音声出力デバイスで、
接続しているオーディオインターフェイスを無効化して、
パソコンの音声出力デバイスを
「Realtek High Definition Audio」に設定した状態だと、
Audacityの「再生デバイス・スピーカー」に「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」を設定して再生しても、
エラーが表示されて再生出来ないようになります。
ですので、 Audacity で オーディオインターフェイスを使って録音する場合には、
パソコンの音声出力デバイスを、
接続しているオーディオインターフェイスに設定した状態のままにして、
「再生デバイス・スピーカー」に「 スピーカー (オーディオインターフェイス名) 」を設定して音を聴くようにすると良いと思います。
録音音量の調節
録音音量の調節は、
ミキサーツールバーの「録音音量」のフェーダーをドラッグすることで調節できます。
※ ただ、録音する音声の元々の音量自体が小さければ、
ミキサーツールバーの「録音音量」を値を最大まで大きくしても、
あまり大きな音では録音されませんので、
パソコン内のソフトなどで再生されている音を録音する場合には、
そのソフト側の音量や、
パソコンの音量を大きくして、
録音した後に「ノーマライズ」や「増幅」のエフェクトで音量を大きく調節する
録音時に音割れしないようにする
逆に、入力音量が大きすぎると、
録音される音が「音割れ」してしまいます。
※ 「音割れ」というのは、
音量の上げ過ぎで音がバリバリと割れたり、
音が歪んだりしてしまう現象の事です。
録音を開始して、
オーディオインターフェイスなどから音を入力すると、
どれくらいの音量で入力されているかがメーターに表示されて、
入力している音量が、
メーター の 「0」(dB) の値を超えるようなら、
音割れが発生します。
録音時 の レイテンシー (通信遅延による音のズレ) を軽減する
オーディオインターフェイスを使って歌声を録音した際に、
Audacity に読み込んでいる伴奏用の音声ファイルの音を再生して、
その伴奏音に合わせて歌って録音したけど、
録音した歌声 と 伴奏用の音声ファイルの音 に ズレが生じてしまう、
という事があります。
そうしたズレは、音声データの入力から録音までの間に、
レイテンシー (通信の遅延時間) が発生している事で生じます。
右画面の下にある
「レイテンシー補償」という項目の値をマイナス方向へ大きくしましょう。
※ 「レイテンシー補償」の値が「-130」でもズレが生じるようであれば、
「-150」、「-200」、
というように値を変更してみましょう。
再度、録音してみると、
伴奏用の音声ファイルの音と、
録音した歌声とのズレが、
ほとんど無くなっていると思います。
もし、「レイテンシー補償」の値を調節しても、
伴奏用の音声ファイルの音と、
録音した歌声とのズレが生じるという場合には、
録音した歌声の音声データをドラッグして、
伴奏の音とタイミングが合うように音声データの位置を調節しましょう。
Audacity での録音を高音質にする設定
サンプリング周波数 (サンプリングレート) とは?
「サンプリング周波数」という項目での「周波数」(Hz/ヘルツ) の値は、
” 音声に関してのデータを1秒間に何回 サンプリング (採取)しているか”、
という事を表す単位になります。
現実の空気振動による音の波を、
パソコン内で扱える音声データにする際には、
上の図のように、音の波の縦の位置 と 横の位置に関するデータ を、
1秒間に複数回、
サンプリング (採取) する事で音声データにします。
その際に、1秒間に何回サンプリングを行うのかを決めるのが
「サンプリング周波数」という単位です。
上 (10Hz) と 下 (20Hz) の図を見比べて頂くと分かるように、
サンプリングする回数が多い方が、
元の音波の状態を正確に表す音声データの波形になります。
ですので、「サンプリング周波数」の値を大きくするほど、
より細かい音声データとして録音することになります。
サンプル形式 (ビット深度) とは?
「ビット深度」の値が大きいほど、
サンプリングする一つ一つの音声データに対して、
細かい音量でのサンプリングが
行われるようになります。
この2つの図を見比べても分かるように、
上の図より、下の図の方が、
音量の段階を細かくサンプリングしているので、
元の音波の状態を正確に表す音声データの波形になります。
「サンプル形式」(ビット深度) の値は、
- 16bit
- 24bit
- 32bit
という、いずれかで設定するのが一般的で、
ですので、「サンプル形式」の値が大きいほど、
音量を細かく再現することが出来る音声データとして録音することになります。
高音質な設定で録音した音声データの注意点と、一般的な設定
「サンプリング周波数」や「サンプル形式」(ビット深度) の値を大きくした方が、
高音質な音声データで録音されますが、
「サンプリング周波数」や、
「サンプル形式」(ビット深度) の値を大きくすると、
その分、オーディオデータのデータ量が大きくなりますし、
その音声データを音声編集する際の、
CPU (パソコンの中央処理装置) への負荷も大きくなります。
また、「サンプリング周波数」と「サンプル形式」の値を大きくして、
高音質な音で録音した音声データを、
「WAV」や「AIFF」などの非圧縮の音声ファイルとして保存するのであれば、
音質を劣化させずに音声データを保存できますが、
「MP3」などの圧縮を行う音声ファイル形式で保存する場合には、
MP3音声ファイルへのエンコード (データの変換) 時に、
Audacity に録音した音声データが圧縮変換されるので、
結局、音質が劣化してしまいます。
Audacity の 録音設定 の まとめ
かなり色々な事を説明したので、
ややこしく感じさせてしまったかもしれませんが、
オーディオインターフェイスを使って、
歌声やギターなどを録音するのであれば、
オーディオドライバーを
「WASAPI」、
入力元オーディオデバイスを
接続しているオーディオインターフェイス、
モノラル・ステレオ録音設定で
「 1 (モノラル) 録音チャンネル 」、
Audacity で再生する際のオーディオデバイスを
「スピーカー(オーディオインターフェイス名)」、
というように設定して,