MIDI、MIDIシーケンサーとは何か? (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
「MIDI」(ミディ)とは、
「Music Instrument Digital Interface」(ミュージック インストゥメント デジタル インターフェイス)
という英語の頭文字をとった略語で、
「MIDI」というデータを扱う事が出来る機器やソフトの間で、
「演奏情報」などの送受信を行うための ”データの種類(規格)” の事です。
DTMを行っていく上で必ずと言っていいほど「MIDI」(ミディ)に関する知識が必要になります。
MIDIというデータの種類(規格)について
普段、私たちがパソコンやスマホで見ている画像は画像データ、
聴いている音楽は音声データ(オーディオデータ)、
という種類のデータになっています。
「画像データ」と「音声データ」は、データの種類が違うので、
「画像データ」と「音声データ」を扱う際には、
それぞれ別のソフトを使用したりします。
例えば、画像編集ソフト(ペイントなど)では、
基本的に、画像データにしか対応しておらず、
画像編集ソフト(ペイントなど)で
音声データを扱う事はできません。
※ ちなみに、動画編集ソフトなど、画像データと音声データ、両方を扱う事が出来るソフトもあります。
「MIDI」という種類(規格)のデータは、
「MIDI」というデータを扱う事が出来る機器やソフトの間で、
「演奏情報」などの送受信を行うためのデータの種類(規格) ですので、
「MIDI」というデータも、
画像編集ソフト(ペイントなど)で扱う事は出来ません。
また、「MIDI」というデータの種類(規格)は、「演奏情報」などのデータでしかなく、スピーカーやヘッドフォンは、オーディオデータ(音声データ) を受け取る事でしか音を出力できないので、スピーカーやヘッドフォンに「MIDI」という種類のデータを送ったとしても、音を出力する事が出来ません。
※ また、MIDIというデータの種類(規格)で作られた演奏データ(演奏情報)などの事を「MIDIデータ」と言います。
「MIDIデータ」の中身には、「音の強弱・音の高さ・音の長さ」などの情報が含まれています。
「MIDIデータ」内の「演奏情報」をスピーカーやーヘッドフォンから音として出力するには、
「MIDI音源」(みでぃおんげん) に「MIDIデータ」を送り、
オーディオデータにする必要があります。
※ 「MIDI音源」(みでぃおんげん) というのは、
”「MIDIデータ」を受け取り、
「MIDIデータ」の演奏情報どおりに演奏を行い、
オーディオデータを出力する音源(音の発生源) ”
の事です。
「MIDI音源」には、楽器の音が保存されているものや、
音色の設定をする機能が備わっているものなど、様々な種類があって、
受け取った「MIDIデータ」の演奏情報どおりに、
その「MIDI音源」の音色で演奏を行い、オーディオデータを出力します。
このように、「MIDI」というデータの種類(規格)は、
「MIDI」というデータを扱う事が出来る機器やソフトの間で、
「演奏情報」などの送受信を行うためのデータの種類(規格) となっていて、
「MIDIデータ」自体は音のデータではなく、「演奏情報」などのデータであり、
「MIDIデータ」を「MIDI音源」に送って音声データにする事で、
スピーカーやヘッドフォンで実際の音として聴くことが出来るようになります。
MIDIデータを扱う事が出来る機器やソフトについて
「MIDI」というデータ(MIDIデータ)を扱う事が出来る機器やソフトを大きく分けると、
「MIDIデータ」の「送信側」と「受信側」に分けられます。
「MIDIデータ」の「送信側」には、
「MIDIキーボード」と「MIDIシーケンサー」の2種類があり、
「MIDIデータ」の「受信側」には、
「ハードMIDI音源」と「ソフトMIDI音源」の2種類があります。
「送信側」の「MIDIキーボード」というのは、
ピアノの鍵盤などが備え付けられた機材で、
「MIIDデータ」の入力と送信を行う事が出来ます。
※ ハードウェアのシンセサイザーや、電子ピアノには、
MIDIキーボードとしての機能が備わっている事が多いので混同してしまいますが、
MIDIキーボード単体のものは、
「MIDIデータ」(演奏情報など) を入力・送信するためだけの機材で、
「MIDIキーボード」のみでは音を出すことは出来ません。
「MIDIシーケンサー」というのは、「MIDIデータ」の入力・送信・編集を行うためのソフトです。
※ 「MIDIシーケンサー」にも、ハードウェアのものがありますが、
話がややこしくなるので、
”「MIDIシーケンサー」 = 「MIDIシーケンサーソフト」”
という内容で解説を進めていきます。
「MIDIシーケンサー」は、「DAW」ソフトの機能の一部として「DAW」ソフトに内蔵されていて、
基本的に、「MIDIシーケンサー」を使用する際は、「DAW」内臓の「MIDIシーケンサー」を使用します。
※ ただ、「DAW」内臓の「MIDIシーケンサー」が使いづらい場合には、
別の「MIDIシーケンサー」ソフトのダウンロードとインストールを行い、
その「MIDIシーケンサー」ソフトを「DAW」ソフトから呼び出して使用したりします。
「受信側」の「ハードMIDI音源」というのは、名前の通り、ハードウェアの「MIDI音源」で、
「ソフトMIDI音源」というのも、名前の通り、ソフトウェアの「MIDI音源」です。
「ハードMIDI音源」と「ソフトMIDI音源」、両方とも、様々な種類があり、
ギターの音色の音で出力するものもあれば、ドラムの音色の音で出力するもの、
自分で調節した音色の音を出力する「シンセサイザー系」などもあります。
また、1つの「ハードMIDI音源」・「ソフトMIDI音源」で、
ギターとドラム、ピアノなど、
複数の楽器の音色の音を出力する事が出来るものもあります。
ただ、「DTM」での楽曲制作で、使われる事が多いのは「ソフトMIDI音源」で、
「ハードMIDI音源」はあまり使われていないと思います。
また、「ソフトMIDI音源」の種類を大まかに分けると、
「ソフトMIDI音源」単体で使う事が出来る「スタンドアローン」(単独動作) タイプと、
単体では使う事が出来ず、「DAW」ソフトから呼び出して使う「プラグイン」タイプの2種類があり、
「DTM」での楽曲制作では、「プラグイン」タイプを使用して楽曲制作を行う事が多いと思います。
ですので、「DTM」で楽曲制作を行う際には、
「送信側」の「MIDIキーボード」か「MIDIシーケンサー」から、
「受信側」の「プラグイン」タイプの「ソフトMIDI音源」に対して「MIDIデータ」を送って、
楽曲制作を行う事が多いです。
※ 「プラグイン」タイプの「ソフトMIDI音源」は、
そのまま「プラグイン」と呼ばれます。
MIDIデータの中身と送受信について
「MIDIデータ」として送られる情報には、
- 音の高さ
- 音の長さ
- 音の強弱 (ベロシティ)
- ピッチベンド (音程の滑らかな変化)
- 1~16までのチャンネル情報
などがあります。
※ 「MIDIデータ」として送られる情報には、他にも様々な情報がありますが、
実際に「DTM」を行う際には、これらの「MIDIデータ」のみを扱う事がほとんどだと思います。
「MIDIキーボード」では、押した鍵盤の音の高さや、
鍵盤を押した際の強さなどで演奏情報を入力・送信する事が出来ます。
「MIDIシーケンサー」では、音の高さや、音の長さ、音の強弱などの演奏情報を、
MIDIシーケンサーの画面で入力・編集した後、送信します。
※ 「MIDIシーケンサー」の具体的な使い方に関しては、後ほど解説していきます。
「プラグイン」は、MIDIデータとして送られてくるこれらの情報を受け取り、
その「プラグイン」の楽器の音色で演奏情報どおりに演奏を行い、
音として出力できるオーディオデータにして、スピーカーやヘッドフォンに送ります。
例えば、「MIDIキーボード」から ” 一点ハのド ・ 四分音符 ・ ベロシティ(音の強さ) 80 ” という「MIDIデータ」を「プラグイン」に送った際、
「プラグイン」にバイオリンの音が保存されていれば、
「一点ハのドを四分音符、ベロシティ80の強さ」でバイオリンの音(オーディオデータ)が出力されます。
※ 「ベロシティ」(Velocity)と言うのは、
音の強弱についての数値のことで、0~127段階まであります。
「ベロシティ80」は「やさしめ」くらいの音です。
また、その「MIDIデータ」の送り先の「プラグイン」をピアノの音が保存されている「プラグイン」に変えれば、
「一点ハのドを四分音符、ベロシティ80の強さ」でピアノの音 (オーディオデータ) が出力されます。
実際に、「DTM」を行う際には、「MIDIキーボード」とパソコンをUSB接続して、
「MIDIキーボード」から送る「MIDIデータ」をパソコン内の「DAW」ソフトに送られて、
「DAW」ソフトのトラックに「インサート」(”挿入”の意味) した「プラグイン」が
その「MIDIデータ」を受信します。
そして、その「プラグイン」に保存(または設定)されている音色の音で、
受信した「MIDIデータ」の演奏情報どおりに演奏を行い、オーディオデータを出力します。
出力されたオーディオデータは、「DAW」ソフトからパソコンのスピーカーや、
パソコンに接続しているヘッドフォンなどへ送られて、現実での音として聴くことが出来るようになります。
また、「MIDIキーボード」から送られた「MIDIデータ」は、
「DAW」ソフトで保存する事が出来て、
「DAW」ソフトの録音ボタンを押した後、「MIDIキーボード」の鍵盤を押すと、
押した鍵盤の音の高さ、鍵盤を押した長さ、鍵盤を押した強さの「MIDIデータ」が保存されます。
「DAW」の再生ボタンを押すと、保存した「MIDIデータ」がトラックの「プラグイン」に送られ、
先ほど弾いた「ドレミファソラシド」と同じように演奏されます。
※ ちなみに、上の画像のパソコンに表示している「DAW」ソフトは、
「Reaper v0.999」という無料の「DAW」ソフトで、
この無料の「DAW」ソフトでは、
「MIDIキーボード」から受け取る「MIDIデータ」を「保存」(録音) すると、
自動的に、「MIDIファイル」としてファイル化されます。
※ 「MIDIファイル」というのは、「~~.mid」という拡張子のファイルで、
「MIDIデータ」が書かれたファイルの事です。
「拡張子」というのは、
「そのファイルが何のデータのファイルなのか?」を
パソコン内の各ソフトが識別するためにファイル名の最後に付けられるものの事です。
普段、私たちが聴いている音楽ファイルにも「~~.mp3」や「~~.wav」といった拡張子が付いていて、データの種類(規格)ごとに拡張子が定められています。
MIDIという規格(種類)のデータである「MIDIデータ」をファイルとして保存すると、
「~~.mid」という拡張子がついたファイルになります。
このファイルの事を「MIDIファイル」といいます。
※ 一般的な有料の「DAW」の場合、
「MIDIキーボード」から受け取る「MIDIデータ」を「保存」(録音) すると、
「MIDIイベント」や「MIDIアイテム」といった、
「DAW」の「プロジェクトファイル」内のデータの一部として保存する事が出来ます。
※ 「プロジェクトファイル」というのは、
使用しているソフトの画面で調節した内容や設定などの情報を保存するためのファイルの事です。
「DAW」ソフトの場合、追加したトラックの数や、
各トラックの音量、音の位置(PAN)などの情報を保存したり、
「MIDIアイテム」(MIDIイベント)のMIDIデータの情報などを保存する事が出来ます。
「プロジェクトファイル」は、各ソフト固有のファイル形式となっていて、
「Reaper v0.999」という「DAW」ソフトでは、
「~~.rpp」という拡張子のファイルになっています。
楽曲制作の途中で、いったん作業を止める時などは、
その「DAW」ソフトのプロジェクトファイルとして保存して、
再び、作業を再開する時に、
保存したプロジェクトファイルを その「DAW」ソフトで開きます。
そうすると、プロジェクトファイルを保存した時の調節状態で画面が表示され、
途中の状態から作業が再開できます。
MIDIシーケンサーの具体的な使い方
「MIDIデータ」を保存した「MIDIアイテム」(またはMIDIファイル) は、
「MIDIシーケンサー」で開いて編集する事が出来ます。
※ 編集したい「MIDIアイテム」を右クリックして、
「エディタで開く」といった項目をクリックすれば、
その「DAW」ソフト付属の「MIDIシーケンサー」で その「MIDIアイテム」が開かれます。
「DAW」ごとに、MIDIシーケンサーの機能や操作画面の表示は異なりますが、
基本的な使い方は同じです。
「MIDIシーケンサー」では、
左側にピアノの鍵盤があり、
音の高さを表していて、
右側のマス目の箇所では、
鳴らしたい高さの音のマス目をダブルクリックして、
「ノート」(”音符”の意味)という印を打ち込みます。
打ち込んだ「ノート」の端をドラッグする事でノートの長さを調節する事が出来て、
ノートの長さによって、
音が鳴る長さが調節出来ます。
ノートをドラッグして移動させる事も出来て、
入力したノートをダブルクリックすれば、
そのノートを削除する事が出来ます。
鍵盤とマス目の箇所は、
「ピアノロール」と呼ばれます。
「ピアノロール」のマス目を作っている線(グリッド線)は、
「1マス」を8分音符間隔の表示にするか、
4分音符間隔の表示にするかの変更が出来ます。
また、マス目の箇所の表示を拡大縮小する事も出来ます。
※ また、「MIDIチャンネル」の設定なども行えます。
「MIDIチャンネル」については
「~MIDIに関しての知識(補足解説)~」というページで解説しています。
後は、五線譜(楽譜)と同じような感覚で、
マス目をクリックしてノート(音符)を入力したり、
ノートの長さを調節して配置していけば、
そのMIDIデータ通りにMIDIデータを受け取ったプラグインが演奏を行ってくれます。
また、「DAW」のメニューバーから空っぽの「MIDIアイテム」(またはMIDIファイル)を挿入する事も出来て、
空っぽの「MIDIアイテム」(またはMIDIファイル)を「MIDIシーケンサー」で開いて、
MIDIデータを入力・編集する事も出来ます。
※ ですので、「MIDIキーボード」が無くても、楽曲制作を行う事は可能です。
「MIDIシーケンサー」だけで楽曲制作を行う際は、
このような感じでノート(音符)を入力・編集しながら、再生してメロディーや和音を確認します。
そして再び、ノート(音符)を入力・編集して再生する、という感じで作業を進めていきます。
※ ちなみに、無料DAWソフト「Reaper v0.999」に内蔵されているMIDIシーケンサーは、少し使い勝手が悪いので、
「Reaper v0.999」を使う場合には、
「DOMINO」(ドミノ) という無料の「MIDIシーケンサー」ソフトを使った方が良いと思います。
「DOMINO」のインストール方法や使い方に関しては、
別のページで解説しているので、見てみて頂ければと思います。
「DOMINO」の使い方を解説している動画内で、
より具体的な「MIDIシーケンサー」の使い方に関しても解説しています。