「拍」(はく)・「BPM」(Beats per second : ビーピーエム) ・「テンポ」(Tempo) について (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
「拍」(はく) というのは、音楽を聴いた時に感じられる、
”心拍数の鼓動のように一定間隔で刻まれるリズム”
の事です。
例えば、この楽曲を聴いた時、伴奏やメロディーの音とは別に、
何となく、心拍数の鼓動のように一定間隔で刻まれるリズムが感じられるのではないかと思います。
このように、音楽を聴いた時に感じられる、
”心拍数の鼓動のように一定間隔で刻まれるリズム”
の事を 「拍」(はく) と言います。
簡単なものだと、「手拍子」(てびょうし) なども
「拍」を刻んでいると言えます。
「拍」を刻む間隔によって速さが変わる
基本的に、楽曲は、「拍」で刻まれるリズムに合わせて、
様々なリズムの音を鳴らす事で作られています。
ですので、曲の速度は、
「拍」がリズムを刻む時間間隔によって速くなったり、遅くなったりします。
例えば、音を鳴らしている音符が同じだとしても、
「0.5秒間隔」で刻まれる「拍」に合わせて音を鳴らした時の速さと、
「0.75秒間隔」で刻まれる「拍」に合わせて音を鳴らした時の速さを比べると、
「0.75秒間隔」で刻まれる音が鳴る速度が遅くなります。
このように、曲の速度は、
「拍」がリズムを刻む時間間隔によって
速くなったり、遅くなったりします。
ですので、”「拍」がリズムを刻む時間間隔” を調節する事で、曲の速度の調節を行います。
曲の速度調節 – BPM ( Beats per Minute )・テンポ ( Tempo )
「拍」の時間間隔は、
”1分間あたりにおける 「拍」(はく) の回数”
によって調節します。
例えば、1分間に60回の「拍」が感じられるという事は、
”60(秒) ÷ 60(回) = 1” ですので、
1秒間隔で「拍」が刻まれているという事になります。
”1分間あたりにおける 「拍」(はく) の回数” は、
「BPM」(びーぴーえむ) という単位で表されます。
「BPM」(びーぴーえむ) というのは、
「Beats Per Minute」(ビーツパーミニット)
の頭文字をとった略語で、
- 「Beats」(ビーツ) は 「鼓動」
- 「Per」(パー) は 「~あたり (比率)」
- 「Minute」(ミニット) は 「分」(ふん)
つまり、”1分間あたりにおける鼓動” という意味で、
”1分間あたりの「拍」の回数” の事を指しています。
曲を作る際には、
「BPM」の値を調節する事で、
楽曲の速さを調節します。
「120BPM」(「BPM = 120」) であれば、
”1分間に120回の「拍」の速さ” という事になります。
”1分間に120回の「拍」” という事は、
「拍」の時間間隔を秒数に計算してみると、
”60(秒) ÷ 120(回) = 0.5(秒)” なので、
「BPM = 120」 (1分間に120回の「拍」) は、
”0.5秒の間隔で「拍」が鳴る速さ” という事になります。
※ 「BPM」の値による速度が分かりやすいように、
「拍」の時間間隔を秒単位に計算しなおしましたが、
「拍」の時間間隔を秒単位で考える必要はありません。
ちなみに、冒頭で聴いて頂いた楽曲は、
「BPM = 140」なので、
”1分間に140回の 「拍」(はく) ” の速さです。
「BPM = 140」における「拍」の時間間隔を秒単位に計算すると、
”60 ÷ 140 = 0.4285,,,,”
というように割り切れません。
ですので、その「BPM」の値がどれくらいの速さで「拍」を刻むのかは、
その「BPM」の値で 「拍」を鳴らしてみて、感覚で速さを確認します。
※ Googleで「メトロノーム」と検索すると、
「BPM」の値による速度を調べられるので、
試してみると良いと思います。
※ また、作曲ソフトを使っている場合には、
「BPM」(または「Tempo」(テンポ)) という箇所で「BPM」の値を変更する事が出来るので、
そこで「BPM」の値を調節して、その「BPM」の値での速度を聴いてみて楽曲の速度を調節します。
また、今 説明にも出てきましたが、
「BPM」とほぼ同義語の言葉に「Tempo」(てんぽ) という言葉があります。
「Tempo」(てんぽ) は ”曲の速さ” を指す言葉です。
”「Tempo」を遅くする” という場合には、
”曲の速さを遅くする” という事になります。
”曲の速さを遅くする” には、
1分間あたりにおける「拍」の回数を減らします。
”1分間あたりにおける「拍」の回数を減らす” には、
「BPM」の値を小さくします。
つまり、”「Tempo」を遅くする” というのは、
”「BPM」の値を小さくする”
という事になります。
ですので、「Tempo」(てんぽ) は、
「BPM」と ほぼ同じ意味として使われます。
作曲ソフト ( DAWやMIDIシーケンサーなど ) によっては、
「BPM」の値を調節する箇所の名称が「Tempo」(テンポ) になっている事もありますので、
作曲ソフト「BPM」という表記の箇所がなければ、
「Tempo」(テンポ) と表記されている箇所を探して「BPM」の値を調節しましょう。
「拍」・「BPM」 と 「音符」 の関係
それでは最後に、「拍」と「BPM」、「音符」の関係について解説していきます。
楽曲の演奏情報を「楽譜」にする際に、
音の長さは「音符の種類」で表します。
ただ、「音符」の種類による「音の長さ」は、
”4分音符は 8分音符の2倍の長さ”
というように、
音符の種類ごとにおける相対的な「音の長さの比率」 でしかありません。
つまり、
”「4分音符」が時間的に どれくらいの長さなのか”、
といった
”各音符の「時間的な音の長さ」”
は定まっていないという事です。
ですので、各音符に、「時間的な音の長さ」を与えるために、
”「拍」が何の音符なのか”
という事と、
”「BPM」の数値”
を定めます。
「拍」として定めた音符の時間的な長さは、
「拍」の時間的な長さと同じになります。
例えば、「拍」としての音符を「4分音符」とした場合、
「拍」の1回分の長さと「4分音符」の1つの長さが同じという事になります。
そして、「拍」の1回あたりにおける時間的な長さは、
「BPM」の数値によって定められるので、
”「拍」が何の音符なのか” という事と、
”「BPM」の数値” を定めると、
「拍」として定めた音符の長さが「BPM」の値によって決まり、
「拍」として定めた音符の長さから、
他の音符の長さが比率によって決まってきます。
例えば、「拍」としての音符を「4分音符」にします。
そして、「BPM = 120」 にした場合、
”1分間に120回の「拍」” ですので、
”1分間に120回の「4分音符」”
という事になります。
”1分間に120回の「4分音符」” という事は、
「4分音符」の時間間隔を秒数に計算してみると、
”60(秒) ÷ 120 = 0.5(秒)” になるので、
「BPM = 120」 (1分間に120回の「拍」) での、
「4分音符」の時間的な長さは「0.5秒」になります。
そして、「4分音符」(0.5秒)の
「2倍」の長さの「2分音符」は「1秒」の長さ、
「4分音符」(0.5秒) の「1/2」の長さの「8分音符」は「0.25秒」の長さになります。
このように、”「拍」が何の音符なのか” という事と、
”「BPM」の数値” を定めると、
「拍」として定めた音符の長さが分かり、
「拍」として定めた音符の長さから、
他の音符の長さが比率によって決まってきます。
また、同じ「BPM」であっても、
「拍」として定める音符の種類を別の音符にすると、
各音符の時間的な長さも相対的に変化します。
例えば、「拍」としての音符が「8分音符」で、
「BPM = 120」にした場合には、
”1分間に120回の「8分音符」” になり、
「8分音符」の時間的な長さが「0.5秒」になります。
そして、「8分音符」(0.5秒)の
「2倍」の長さの「4分音符」は「1秒」の長さ、
「8分音符」(0.5秒)の「1/2」の長さの「16分音符」は「0.25秒」の長さになります。
このように、同じ「BPM」であっても、
「拍」として定める音符の種類によって、
各音符の時間的な長さも相対的に変化します。
※ 今回も、音符の時間的な長さと「BPM」・「拍」の関係が分かりやすいように、
音符の時間的な長さを秒単位に計算しなおしましたが、
先ほど説明したように、
音符の時間的な長さを秒単位で考える必要はなく、
「拍」として定めた音符の時間的な長さは、
「BPM」の値の調節を行い、その「BPM」の値で
その 「音符」(拍) を鳴らしてみて、感覚で速さを確認します。
「拍」と「BPM」(Tempo) の五線譜での書き方
「五線譜」では、
”「拍」が何の音符なのか” という事と、
”「BPM」の数値” を定めるには、
「五線譜」の左上に、「拍」として定める音符を書いて、
その右側に「=」を書き、「BPM」の数値を書きます。
基本的に、「拍」は「拍子」で決まる
基本的に、「拍」として定める音符の種類は、楽曲の 「拍子」(ひょうし) によって決まります。
「拍子」(ひょうし) というのは、
「4/4拍子」(よんぶんのよんびょうし) や、
「6/8拍子」(はちぶんのろくびょうし) などの事です。
※ 「拍子」と「小節」については別のページで解説しているので、
お手数ですが、そちらを参照してください。
これらの「拍子」の、
分母の部分が ”「拍」として定める音符” を表していて、
分子の部分は ”1小節間の拍の数” を表しています。
ですので、「4/4拍子」と言う場合には、「拍」として定める音符は「4分音符」となり、
「6/8拍子」と言う場合には、「拍」として定める音符は「8分音符」になります。
※ ただ、”楽曲の拍子は「6/8拍子」だけど
「拍」として定める音符を「4分音符」にしている”、
という楽曲も世の中には多くあります。
※ ですので、 ”「拍」として定める音符は、楽曲の「拍子」(ひょうし) によって決まる” というのは、あくまで、 ”基本的には” というくらいに覚えておいて頂ければと思います。
DAWソフトでの「拍子」と「BPM」
また、「DAW」などの作曲ソフトでは、「拍子」を変更すると、
MIDIシーケンサー画面などの小節の区切り線は、
その「拍子」における小節の区切り線の位置に変更されますが、
「拍」としての音符は、その「拍子」の分母の音符ではなく、
「4分音符」で固定されたままになっていたりします。
例えば、これは「Reaper」(リーパー) という「DAW」ソフトなのですが、
「Reaper」(リーパー) のMIDIシーケンサーに「4分音符」の長さの「ノート」(横棒のやつ) を打ち込んで、
「BPM」を「120」に設定して、
「拍子」を「4/4拍子」で音を鳴らした時と、
「BPM」は そのまま「120」で、
「拍子」を「6/8拍子」にして音を鳴らした時を比べると、
MIDIシーケンサー画面に表示されている小節の区切り線の位置は変更されていますが、
「4分音符」の音の長さは変わっていません。
先ほど解説したように、「拍子」の分母の数字の音符が、「拍」の音符として定められるのであれば、
「4/4拍子」の時には、秒数で言うなら、「0.5秒」に1回の間隔で「4分音符」の音が鳴って、
「6/8拍子」の時には、「8分音符」が「0.5秒」間隔で鳴るので、
「4分音符」は「1秒」に1回の間隔で音が鳴るはずです。
つまり、「6/8拍子」の時には、「1/2」の速度でゆっくりと音が鳴るはずです。
それなのに、そうなっていないという事は、
「拍子」を「4/4拍子」から「6/8拍子」に変更しても、
「拍」としての音符が「4分音符」のままだという事です。
※ 「拍」としての音符が「4分音符」のままであれば、
「4分音符」の時間的な長さは、「4/4拍子」から「6/8拍子」に変更しても同じ長さ(0.5秒)のままです。
このように、「DAW」などの作曲ソフトでは、
「拍子」を変更した際に、
小節の区切り線の位置は変更されるけれど、
「拍」としての音符が「4分音符」に固定されていたりするので、
「DAW」などの作曲ソフトを使用する際には、
「拍」=「4分音符」というように考えておいても、
問題ないと思います。
※ ただ、作曲ソフトなどによっては、
「拍」の音符を変更する事が出来るものもあるので、
その点に注意してください。