リズム (テキストと画像での解説)
※ テキストと画像での解説内容は、動画での解説内容と同じものとなっています。
楽曲の伴奏やメロディー、フレーズなどを作る際に、
重要になってくるのが「リズム」です。
音楽における「リズム」というのは、
”複数の音を時間軸上に並べる事で、時間の速さや遅さを感じさせるもの”
の事です。
また、「拍」や、「拍子」(「4拍子」など) も、
一定の周期を繰り返す事で時間の速さや遅さを感じさせるので「リズム」と言えます。
楽曲の伴奏やメロディー、フレーズなどは、
「拍子記号」で定めている 「拍」 と、
「拍子」のリズムに合わせて作りますが、
「拍」や「拍子」のリズムに そのまま合わせて作ると、
疾走感も無ければ、まったりとした感覚もない、
とても単調で味気ない曲になってしまいます。
例えば、「Key : C」で、「BPM」を「100」、
拍子が「4/4拍子」の楽曲の場合に、
「C・F・G・C」というコード進行を そのまま「拍」に合わせて鳴らし、
4つの「拍」でコードを移動すると、
音が鳴る間隔が常に一定で、時間的な緩急が無いので、
疾走感も無ければ、ゆったりとした感覚もない、
単調で味気ない感じになってしまいます。
ですので、楽曲の伴奏やメロディー、フレーズなどを作る際には、
「拍子記号」で定めている「拍」や、
「拍子」のリズムの規則範囲内で、
時間的な緩急のあるリズムになるように作り、
疾走感や、ゆったりとした感覚がある曲にします。
例えば、先ほどと同じく、「Key : C」、
「BPM = 100」、「4/4拍子」の楽曲で、
「C・F・G・C」というコード進行を このようなリズムにすると、
疾走感があるように感じられて、
このようなリズムにすると、
ゆったりとした感覚になったのではないかと思います。
先ほどと「キー」(調)・「BPM」・「拍子」は同じですが、
コードを鳴らすリズムによって時間的な緩急が生まれ、
このように雰囲気が変化します。
リズムを作る時のコツ
「拍子記号」で定めている「拍」や、
「拍子」のリズムの規則範囲内で、
時間的な緩急のあるリズムを作る際には、
- 「拍」の範囲
- 「小節」の範囲
- 「複数の小節」の範囲
という3つの範囲に分けてリズム作りを考えると良いと思います。
「拍の範囲」でのリズム作り
”「拍」の範囲” では、
「1拍」 ( 1つの「拍」) 内におけるリズムを、
「拍」の「1/4」の短さまでの音符と休符を使って作ります。
例えば、「拍」が「4分音符」であれば、
「4分音符」の「1/4」の短さの音符は「16分音符」ですので、
1つの「4分音符」の長さの範囲内におけるリズムを、
「8分音符」と「8分休符」、
「16分音符」と「16分休符」を使って作ります。
※ 「1拍」内におけるリズムを、
「拍」の「1/8」の短さまでの音符と休符 (「拍」が4分音符の場合、「32分音符」と「32分休符」) も含めて作ると、
かなり細かいリズムになるので、
多くの場合、「1拍」内のリズムは、
「1/4」の短さのまでの音符と休符で作られています。
1つの「4分音符」の範囲内だけでも、
「8分音符」と「8分休符」、「16分音符」と「16分休符」
を使って、こうしたリズムパターンが作れます。
※ これらのリズムパターン以外にも、「8分音符」と「8分休符」、
「16分音符」と「16分休符」を使って、
1つの「4分音符」の範囲内で様々なリズムが作れますし、
「付点8分音符」(付点8分休符) も使うとリズムパターンがより多くなります。
ただ、「付点16分音符」は「16分音符 + 32分音符」、
「付点16分休符」 は「16分休符 + 32分休符」ですので、
リズムが細かくなり過ぎるためあまり使わないと思います。
1つの「4分音符」には、
「8分音符」と「8分休符」 なら2つ入り、
「16分音符」と「16分休符」 なら4つ入るので、
「8分音符」を1つ入れたら、残りのスペースには、
「8分音符」(8分休符) なら1つ入り、
「16分音符」(16分休符) なら2つ入る、
といったパズルのような感じで、
「1拍」 (1つの「拍」) 内におけるリズムパターンを考えると良いと思います。
裏拍(うらはく) – 疾走感のあるリズムを作る
ちなみに、「拍」を2等分にした時の、
前の半分の先頭を「拍の表」(はくのおもて)、
後ろ半分の先頭を「拍の裏」 (はくのうら) と言います。
「拍の裏」 (はくのうら) は
「裏拍」(うらはく) とも呼ばれます。
音楽の会話の中で、”裏拍に合わせる” という場合には、
「拍」を2等分した後ろ半分の先頭にリズムを合わせる事を指しています。
裏拍に合わせると、
後ろに引っ張られるような感覚になる事で、
表拍に移動して落ち着きたくなるので、
前 (表拍) に進もうとする感覚が生じて、
疾走感のあるリズムになります。
以上が、「拍の範囲」でのリズム作りについての説明です。
「拍の範囲」でのリズム作り、つまり、「1拍」内におけるリズムは、
フレーズやメロディー、伴奏などのリズムを作る際の最も細かいリズムで、
”小節の範囲” の中で繰り返したり組み合わせたりして使います。
「小節の範囲」でのリズム作り
それでは次に、”「小節」の範囲” でのリズムの作り方について解説していきます。
「小節」の範囲では、「拍子」で定めた「拍」の数の範囲、
つまり、1小節の範囲内(1小節間) におけるリズムを、
「2分音符」から「拍」の「1/4」までの長さの音符と、
「2分休符」から「拍」の「1/4」までの長さの休符を使って作ります。
例えば、「拍子」が「4/4拍子」であれば、
「1小節間」は「4拍」で、
「拍」は「4分音符」ですので、
1小節間 (4分音符が4つ) におけるリズムを、
「2分音符」(2分休符)から「16分音符」(16分休符)
を使って考えます。
「2分音符」(2分休符) から 「16分音符」(16分休符) までの音符と休符を使って、
こうした1小節間のリズムパターンなどが作れます。
※ これらのリズムパターン以外にも、
「2分音符」(2分休符) から 「16分音符」(16分休符) までの音符と休符を使って、
「1小節間」の範囲内で様々なリズムが作れますし、
「付点」を付けた各音符と各休符を用いる事で
より多くのリズムパターンが作れます。
「4/4拍子」の場合、
「1小節間」には、
「2分音符」(2分休符) なら2つ、
「4分音符」(4分休符) なら4つ、
「8分音符」(8分休符) なら8つ、
「16分音符」(16分休符) なら16つ入ります。
ですので、1小節間に「2分音符」を1つ入れたら、
残りのスペースには、「4分音符」(4分休符) なら2つ、
「8分音符」(8分休符) なら4つ入り、
「16分音符」(16分休符) なら8つ入る、
というように、「1拍」内の時と同じく、パズルのような感じで、
「1小節間」におけるリズムパターンを考えると良いと思います。
「1小節間のリズム」 – ドラムのリズム
また、先ほどの、「1拍」で考えたリズムパターンの1つを、
4回(4拍)繰り返して、
1小節間におけるリズムを作ったり、
「1拍」で考えた異なるリズムパターンを組み合わせて4拍の長さにしたりする事で、
1小節間におけるリズムパターンを作ったりもします。
「1拍」で考えたリズムパターンを繰り返したり、
組み合わせたりして作られる1小節間のリズムパターンは、
ドラムのフィルインやビート、
高音で鳴らす細かいフレーズなどを作る際に使われたりします。
「1小節間のリズム」 – メロディーやフレーズのリズム
「2分音符」(2分休符) から
「16分音符」(16分休符) までの音符と休符を使って作る
1小節間のリズムパターンは、
伴奏やメロディー、
少しゆっくりめなフレーズなどを作る際に使われたりします。
伴奏やメロディーのリズムの中に「裏拍」で音を鳴らす箇所を入れると、
疾走感のある伴奏やメロディーになります。
「2分音符」や「4分音符」を使って長めに音を鳴らすリズムにすると、
伴奏やメロディーがゆったりした感じになります。
「2分音符」や「4分音符」を使って長めに音を鳴らしつつ、
「裏拍」のリズムを入れると、
ゆったりとしたしつつ疾走感がある感じになります。
「2分音符」や「4分音符」の長めの音と「16分音符」(16分休符)の細かいリズムを組み合わせると、
緩急の激しいリズムになります。
以上が、「小節の範囲」でのリズム作りについての説明です。
「小節の範囲」でのリズム作り、つまり、「1小節間」におけるリズムは、
1区切りのフレーズやメロディー、伴奏などを作る際の最も短い区切りのリズムで、
”複数の小節の範囲” の中で繰り返したり組み合わせたりして使います。
「複数の小節の範囲」でのリズム作り
それでは次に、”複数の小節の範囲” でのリズムの作り方について解説していきます。
複数の小節の範囲では、1小節間のリズムを繰り返したり組み合わせたりしてリズムを作ります。
例えば、1小節間のリズムの1つを繰り返して、
2小節間で1つのリズムにしたり、4小節間で1つのリズムにしたりします。
また、異なる1小節間のリズムを組み合わせて、
2小節間で1つのリズムにしたり、4小節間で1つのリズムにしたりもします。
※ 伴奏やメロディーなどは、
多くの場合、起承転結の流れを作るために、
4小節の長さで作られるので、
1小節間のリズムを繰り返したり組み合わせたりする際には、
最終的に、4小節の長さになるように、
1小節のリズムを繰り返したり組み合わせたりします。
また、1小節間のリズムを組み合わせて作った2小節間で1つのリズムを2回繰り返して、
4小節間で1つのリズムにしたりもします。
「複数の小節のリズム」を繋げる
ただ、注意して頂きたいのは、1小節間のリズムをそのまま繰り返したり組み合わせたりして、
2小節や4小節の長さのリズムを作ると、
1小節ごとに区切られている感じになります。
ですので、前後の小節のリズムが繋がっている状態にしたい場合には、
”前の小節の終わりの音か、
後ろの小節の先頭の音のどちらかを、縮めるか削除して、
前後の小節の間で音をまたいで伸ばす”
”後ろの小節の先頭を休符にする”
といった方法で、前後の小節のリズムを繋げます。
例えば、このような1小節間のリズムを繰り返す際に、
1つ目の小節の終わりの音を削除して、( ※ 2つ目の小節の先頭の音の削除しても良い)
1つ目の小節と
2つ目の小節の間で音をまたいで伸ばすと、
1つ目の小節と2つ目の小節が繋がって、
1つのリズムに聴こえるようになります。
また、4つ目の小節の先頭部分に休符を入れると、
3つ目の小節と4つ目の小節が繋がって、
1つのリズムに聴こえると思います。
このように、前後の小節の間で音をまたいで伸ばしたり、
後ろの小節の先頭を休符にしたりする事で、
前後の小節のリズムが繋がっている状態になります。
また、異なる1小節間のリズムを
組み合わせた場合も同じで、
前後の小節の間で音をまたいで伸ばしたり、
後ろの小節の先頭を休符にしたりする事で、
前後の小節のリズムが繋がっている状態になります。
同じように、メロディーやフレーズなどにおいても、
前後の小節の間で音をまたいで伸ばしたり、
後ろの小節の先頭を休符にしたりして、
前後の小節のリズムを繋げた状態にしたりします。
※ この方法で複数の小節のリズムを いくらでも繋げられますが、
あんまり繋げすぎると、
句読点 ( くとうてん = ”「、」 や 「。」など” ) が無い文章のようになってしまうので、
繋げるのは2小節、または、4小節までにした方が良いと思います。
複数の小節のリズムを繋げて伴奏を作る時の注意点
また、伴奏を作る際に、
前後の小節の間で音をまたいで伸ばす事で 前後の小節のリズムを繋げる場合には、
前の小節の音を後ろの小節に伸ばしているのか、
後ろの小節の音が前の小節に食い込んできているのかを決める必要があります。
例えば、このように、前後の小節の間で音をまたいで伸ばした2小節間のリズムを2回繰り返して、
4小節間で1つのリズムとした場合に、
この4小節の各小節に対して、
「C・F・G・C」というコード進行の各コードをそれぞれ割り当てて伴奏を作る際、
前の小節の終わりの音が
後の小節の先頭まで伸ばされているのか、
後の小節の音が、
前の小節のの終わりに食い込んできているのか、
という事を決める必要があります。
前の小節の音が、
後の小節の先頭まで伸ばされている場合、
伴奏のリズムはこうなります。
リズミカルだけれど、特に疾走感は無いようなリズムに感じられたのではないかと思います。
それに対して、後の小節の音が、
前の小節の終わりに食い込んできている場合、
伴奏のリズムはこうなります。
前の小節に食い込んできているので、
少し疾走感があるリズムに感じられたのではないかと思います。
このように、
”前の小節の音を後ろの小節に伸ばしているのか”、
”後ろの小節の音が前の小節に食い込んできているのか”、
どちらを選択するかによって、
伴奏のリズムによる印象が変わるので、
どういった伴奏にしたいかで判断しましょう。
セクションの長さの小節数にする
ここまで解説した、
- 「拍」の範囲
- 「小節」の範囲
- 「複数の小節」の範囲
という3つの範囲でリズムを作ったら、
そのリズムを組み合わせて、
楽曲の「セクション」(イントロやAメロなどの事) の長さの小節数にします。
多くの場合、楽曲の各「セクション」(イントロ・Aメロ・Bメロなど)は、
8小節か、16小節で作られます。
楽曲の各「セクション」を8小節で作る場合、
4小節間のリズムを2回繰り返して8小節にしたり、
2小節間のリズムを4回繰り返して8小節にしたりします。
楽曲の各「セクション」を16小節で作る場合、
4小節間のリズムを4回繰り返して16小節にしたりします。
先ほどの、「C・F・G・C」というコード進行の各コードを
「1小節」ごとに割り当てた伴奏の場合、
4小節の「C・F・G・C」というコード進行を4回繰り返して、
16小節の「セクション」を作る、
といった感じになります。
※ コード進行の中には、
「起承転結」があって、
多くの場合、コード進行の「起承転結」の流れを壊さない様に、
4小節で1つのまとまりになるように伴奏やメロディーが作られる事が多いです。
そして、4小節で1つのまとまりを2回繰り返したり、
4回繰り返す事で、1つの 「セクション」を作ったりします。
※ 最終的には、
複数の「セクション」を繋げて、
さらに大きな「起承転結」にしたりして楽曲が作られます。